「すべては効率化を図るためです—— 組み立て工程における手動による作業を減らすことで、作業時間の短縮やコストの低減を実現することができます。例えば、作業工程間やラインエンドなどでの車両移動時間を効率化できます」
伝統と技術を融合させて未来を切り拓く
自動車産業分野における自動化の進展は、自動車メーカーや関連企業によるビークルムーバー (車両運搬機) の活用方法にも影響を与えています。2024 年にリリースされた『Stringo S5』製品のプラットフォームは、こうした昨今の要件にも対応していると Tomas は語ります。
「『Stringo S5』シリーズは、AGV や自動化に対応できるだけでなく、AI やスウォームネットワークのような複雑なネットワークにおける継続的な技術革新にも対応することができるんです」
プラットフォームのオープン CAN バスアーキテクチャにより、ビークルムーバーの制御システムを外部ソフトウェアシステムに接続でき、最新技術を活用した現代の製造環境において無限に近い可能性を切り拓くことができます。
「お客様を単一のソフトウェア・エコシステムに縛るのではなく、ロボット搬送機などの既存の自動化システム内で Stringo マシンを運用できるようにします。標準プロトコルというものが存在しないため、柔軟性が高く、移動ロボットを導入している企業やエンドユーザー双方のニーズに対応できます」
「自動化」と「全方向移動」を組み合わせ 最大限の柔軟性を
『Stringo S5』シリーズは、ステアバイワイヤ技術を組み合わせることで、旋回角度を制限し全方向操縦を実現しています。柔軟性が高いため、遠隔操作も正確に行うことができます。
「このシリーズは、自動車試験施設での風洞試験や ADAS (Advanced Driver-Assistance Systems: 先進運転支援システム) キャリブレーションなど、車両を正確な位置に配置しなくてはならない場合に特に有用です」
スマートファクトリーなど現代型の工場で 費用効率の高い運用を実現
自動化と正確な操作性は、小規模で、従来とは異なる形態の生産施設においても効率性の向上をもたらすとTomas は言います。
「ベルトコンベア上に 90 度や 180 度の角度の曲線を備えた生産ラインを設置するには多額の費用がかかります。ビークルムーバーを使用してベルトコンベア間を車両移動させる方が、柔軟性があり、費用対効果も高いんです」
製造ラインを組むまでもない追加工程(少数モデルの対応など)での搬送でも、遠隔操作や自律走行型のビークルムーバーが活用されています。当社はドイツの AGV 専門企業 Safelog 社と提携し、「自律型全方向移動モード (仮)」での運用を想定したマシンの開発を行っています。
「ショールームでの車両展示や、高級車両のカスタマイズ工程を、自動化された Stringo を使うことで、インパクトがあってとても洗練された形でお見せすることができます。高級車を購入するお客様が、その車が Stringo で自動で運ばれているところを見るのはとてもワクワクすると思います」
自動化ロードマップに関する事例
現在 Tomas は、お客様やパートナー企業とともにさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
「自律走行型のビークルムーバーを連続稼働させるために、ワイヤレス充電 (電磁誘導充電など) などさまざまな選択肢を検討しています。実現化できると、24 時間体制で稼働する工場で特に活用いただけると考えています」
「当社ではセンサーやカメラなど安全性にも重点を置いています。センサーやカメラを適切に配置し、自律走行時に搭載車両の前後左右の視認性を高めることで、安全性の向上にもつながります。お客様の安全性は当社の最優先事項です。Stringo マシンが走行する際に、進行方向を妨げる可能性のある人や物体などあらゆる障害物を検知し、優れた安全性を提供できるような開発に尽力しています」
Stringo 社では、安全機能や最新技術の開発に継続的に取り組んでいます。
ビークルムーバーについて
ビークルムーバーの動向について詳しくは、当社のコンテンツをご覧ください。
Stringo AB 社 CTO である Magnus Grafströmが、最新技術による安全性の向上や製品開発事例について語る『How innovation drives safety in vehicle mover product development / イノベーションがビークルムーバー開発における安全性を向上させる仕組み (英語のみ)』もぜひお読みください。