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厳しい環境下で導き出された 独創的なアイデアと開発

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重量のある車両、限られたスペース、組み立てラインの中央には凹凸のあるスロープ… 工場内での車両移動はきわめて困難な状況にありました。これまでのビークルムーバー(車両運搬機)では解決の糸口を見出すことができず、アメリカ最大の自動車メーカーの関係者は頭を抱えていました。高額なロボットの導入や工場の建て直しを検討するほど事態は深刻で、問題解決に苦慮していました。しかし、幸いなことに、高額なロボットの購入も、工場の建て直しも必要ありませんでした。Stringo 社との連携により苦悩から解放され、しかも、大幅なコスト削減を実現できたのです。問題を解決に導いた要因はなんだったのか、Stringo 米国支社でセールス・マネージャーを務める Jeff Barr に話を聞きました。

世界トップクラスの自動車メーカー 

困難に直面していたのは世界トップクラスの自動車メーカーでした。フットボール場約 156 個分の広さを持ち、7,000 人もの従業員が勤務するこの工場では当時、米国で最も人気のある車種をはじめ、複数のモデルが生産されていました。年間約 55 万台、1 分間で 2 台という驚異的な生産台数を誇るこの工場の組立ラインを停止させることだけは、なんとしても回避しなくてはなりません。控えめに言っても、1 分間で最大 20,000 米ドルとかなり高額の損失となるおそれがあります。 

狭いスペース  重量のある車両

凹凸のあるスロープ 

生産ラインの中で、大きなカギを握るのが最終工程です。バッテリ切れが生じるなど、あらゆることが原因となり生産ラインを停止させるおそれがあります。生産ラインはすべての工程が繋がっているため、1 台に問題が発生して生産ラインが停止すると、すべての工程で作業を停止せざるを得ない状況になります。そこで、Stringo ビークルムーバーが力を発揮します。Stringo ビークルムーバーを使用すると、問題が発生した車両を生産ラインから安全に移動させることができます。  

 この工場での課題は、組み立てラインの中ほどにありました。すでに 2 台の Stringo 550 (後継モデル Stringo S5) を所有していたこの工場では、大きな問題もなく順調に稼働していました。現場のオペレーターが Stringo を使用して行う作業は、組み立てラインから車両を取り出し、凹凸のあるスロープ上を移動させ、最終的に組み立てラインの別の工程に車両を戻すというものでした。車両の移動時は、右の前輪のみを使用していました。なぜ右の前輪のみを使用するのか— どのような事情があったのでしょうか 。

「このように移動させることで、スムーズに、しかも前の車両に近い位置で車両を組み立てラインに戻すことができるようなんです」と Jeff Barr は説明します。  

Buyer’s guide: What should an efficient vehicle mover do?   * What expectations to have on a vehicle mover   * Important points to consider when comparing solutions   * Supplier requirements – key questions to ask Free download

コスト増 効率低下 安全リスク増大

重量のある車両を片輪のみで移動させようとすると、車両の重量が Stringo マシンのフロント部分の片側に集中してしまい、作業がきわめて困難になる… 後部の駆動輪にかかる圧力も減少する…

現場ではこうした状況を改善すべくさまざまな試みがなされるも、安全かつ確実な方法は見出せないままでした。重量が片側に集中するため Stringo マシンへの負荷は高まる一方で、気づけば、組み立てラインよりも修理作業に要す時間の方が長くなっていました。機材の維持管理費用は増大し、効率は低下、オペレーターの安全を脅かし、真の頭痛の種になっていきました。この窮地に立ってようやく、外部からの専門的な支援の必要性に気付いたのです。  

「お客様の苦しみを我が事のように感じる」

—私が大切にしている格言のひとつに、「お客様の苦しみを我が事のように感じる」というものがあります。この時、わたしはまさにこの格言どおりの思いでした。現場では、解決策を模索して懸命に努力していたものの、度重なる失敗に頭を抱えていました。問題解決のために、高額なロボットの購入や工場の建て直しさえ検討していました。関係者は、悔しい思いを抱えていたと思います。-Jeff Barr 談

そのほかの事例5 ways a car production engineer can use a vehicle mover / 自動車の製造現場でビークルムーバーを活用する方法 (英語のみ)』もぜひお読みください。

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特別仕様の Stringo 550 PLUS で難題に挑む

その後も、Jeff は幾度となく工場へと足を運びました。Stringo 本社で CTO を務める Magnus Grafström も現場を訪れ、組み立てラインの担当者や責任者らと話し合いました。Magnus はスウェーデン本社に戻るとすぐに、自身が率いる開発部門のメンバーとともに解決策を模索し始めました。Stringo 本社のエンジニアらは試行錯誤を重ね、やがて、最善と思われる解決策を導き出しました。当時の Stringo モデルの中で最も堅牢でパワフルな Stringo 550 PLUS を特別仕様にカスタマイズするというアイデアでした。Stringo 550 PLUS は当初、主に米国市場向けに開発されたモデルでした。 

Stringo 550 PLUS は、Stringo の標準特性に加え、次世代レベルの機能を備えています。フロント部をさらに強化— 重心を低く抑えることで優れた安定性を実現しています。ボギーホイールを装備— 障害物の乗り越えもスムーズに行えます。堅牢なマシン設計— 高頻度の使用でも、メンテナンス作業や修理作業への影響は少なくてすみます。これらの利点に加え、現場の特異なニーズに合わせて、いくつかの特殊改造や調整を行いました。 

フロント部右側のプレスアームに新たなサポートホイールを追加することで、さらなる安定性の強化を図りました。ドライブユニット下に装備されていた既存のサポートホイールは、特殊開発されたアタッチメントを使用してサイドに配置しました。また、フロント部とドライブユニットの両方に 1 対の小さなゴム製のブロックを追加装備することで、オペレーターが車両を移動させる際に、より正確な位置へと配置できるようになりました。一見、些細な調整のように思われるかもしれませんが、「すべてはこの問題を解決するために」一丸となり、細部にまで注意を払う必要がありました。

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Stringo マシンを確実に稼働させるために 

Magnus と開発部門は何時間もの時間を費やして、機能の改良や新機能の開発に取り組み、完璧なバランスと安定性を実現しました。Magnus 自身が実際に現場を訪問したことが、大きな違いを生み出すことにつながりました。

「実際に現場を訪問していなければ、この問題を解決することは到底できなかったでしょう。担当者の声に耳を傾け、現場での課題について考察し、対応策を模索する— それ以外に方法はありませんでした」 

こうして生み出された特殊仕様の Stringo 550 PLUS— 現場が抱えていた課題を見事に解決へと導きました。この特殊仕様の Stringo マシンは、同社の米国内の他の製造現場への導入も計画されています。お客様と当社のコラボレーションが実を結び、成果をもたらすことができてとても嬉しいと Jeff は語ります。 

「お客様は、この特殊仕様のビークルムーバーにとても満足しています。高額のロボットを購入する必要も、何百万ドルもかけて工場を建て直す必要もありませんでした。それどころか、その費用のほんの一部で、安全かつスムーズに、しかも効率的に車両を移動させることができるようになったのです」

「お客様が抱えている問題は何なのか— すべては、お客様の声に耳を傾けることから始まります。複雑である必要はないのです」

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Stringo では、お客様の使用環境に適したソリューションを提供しています。車両移動に関するお困りごとや Stringo マシンのカスタマイズ事例など、info@stringo.jp までお問い合わせください。

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