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ビークルムーバーをカスタマイズして車両試験の効率向上を図る

How customized Stringo vehicle movers improve automotive testing efficiency

Stringo ビークルムーバーは使用環境に合わせてカスタマイズでき、あらゆる車両試験施設で使用いただけます。衝突試験場、ダイナモメーター(テストセル)、EV 試験施設、ADAS (Advanced Driver-Assistance Systems: 先進運転支援システム) キャリブレーションセンターなど、従業員の安全性を確保しながら車両試験の効率向上を実現します。この記事では、車両試験分野をリードする企業が採用する Stringo ビークルムーバーのカスタマイズ事例についてご紹介します。

ビークルムーバー(車両運搬機)は、自動車製造現場や車両試験施設などで使用されますが、それぞれ異なる目的で用いられています。たとえば自動車製造工場では、最終工程で車両のエンジンが始動しない事態が発生した場合に、対象車両を製造ラインから速やかに移動させるためのツールとして使用されたりします。一方、車両試験施設では、車両を走行させることなくビークルムーバーで移動させるため、ビークルムーバーは日々の作業において欠かせないツールです。車両を走行させない(できない)理由としては、衝突試験で損傷を受け車両自体が走行不能な状態であったり、環境試験室内の環境を可能な限り維持し信頼性の高いデータを取得するために遠隔操作可能なビークルムーバーで車両移動を行う必要があったり、また限られたスペースの中で安全かつ迅速に車両を移動させたりするというような場面が挙げられます。

Stringo AB 社 CTO を務める Magnus Grafström によると、ダイナモメーター(テストセル)や衝突試験での車両移動には、より高い出力を備えた堅牢なビークルムーバーが必要とされる傾向があると言います。

「特に車両試験施設では、Stringo ビークルムーバーの中でも堅牢でパワフルな『Stringo S5』や『Stringo S5 4WM』といったモデルが導入されています」

ビークルムーバーをカスタマイズして車両試験施設が抱える課題を解決

Magnus と彼の率いる研究開発部門では長年にわたり、車両試験に特化したカスタマイズ仕様のマシンやさまざまな機能を開発してきました。彼らが挑んだ特殊仕様の多くは、ビークルムーバーのフロント部分に施されています。その一例として、Magnus は排出ガス試験の事例を挙げます。

「排出ガス試験を行う際に、車両の後部に試験装置を取り付けることがあります。試験装置を取り付けた分だけ車両の全長が長くなるため、Stringo マシンのフロント部分をカスタマイズして延長することで、こうした特殊な用途の車両にも対応することができます」

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車両試験施設における 4 つの代表的な試験環境とカスタマイズ事例

車両試験環境が抱えている課題とは—— 解決策となるカスタマイズ仕様とは——
ここでは、これまで数多くのカスタマイズプロジェクトを手掛けてきた Magnus が、実際に試験環境での車両移動に大きな影響をもたらした事例をいくつかご紹介します。


1. ダイナモメーター(テストセル)

車両試験施設内のダイナモメーターへの車両の搬入出には、試験環境の特性に合ったビークルムーバーが必要になります。自動車の車種にかかわらず、ひとつのツールですべての車両移動に対応できることが理想的です。下記のような問いを立てることで、どのようなビークルムーバーが必要なのかがより明確に見えてくるようになります。 

  • テストセルのローラーの構造(単列、複列など)
  • ローラーの内側間隔、幅や直径
  • 床面の状態(凹凸のない平面、金属製の格子状の床、段差の有無など)
  • 車両移動ルート上の障害物の有無
  • テストセルの入り口の幅や引き戸の溝の幅など 
      

「私たちは、弊社製品を提供する前に必ずお客様の試験施設を実際に訪れ、使用環境や要件をしっかりと理解するよう努めています。そのうえで、お客様の使用環境に合わせて Stringo ビークルムーバーを適切に調整しています。ビークルムーバーの高さ、車輪の寸法や位置なども慎重に調整します。また、万が一走行中に主軸のホイールが床面から浮くような場合でも安全に走行できるよう、予備のホイールを取り付けた事例もあります」

また、Stringo S5 4WM モデルにはカメラが搭載されているため、リモートコントローラを使用して遠隔での操作も可能であると Magnus は言います。

「こうした機能を活用することで、テストセル内への車両移動を効率的に行えるほか、テストセル内で車両を正確な位置に設置することが容易になります」

2. 衝突試験施設

衝突試験に使用された車両は、自走できない車両も少なくありません。損傷を受けた車両を移動させるために、Stringo ビークルムーバーに次のような特殊機能を搭載してお客様に提供することも可能です。

  • クラッシュデッキ: Stringo マシン本体のフロント部分にプレートを取り付けることで、前輪が欠けた車両など破損した車両や故障車を積載させることができます
  • ウインチ: Stringo マシンのみで車両を保持することが困難な場合に、ウインチを使用して車両を引き上げることができます。リモートコントローラによる操作が可能です
  • プレスアーム: スチール製のローラーを採用することで、衝突試験後の車両に多い鋭利な突起よる摩耗や損傷に強く耐えることができます


こうした機能を取り入れて対策を講じていても、ビークルムーバー Stringo が最適とは言えない事態もあると Magnus は語ります。

「破損した電気自動車は、車体や金属部が導電性を持つ可能性があり、感電のおそれがあります。そのような場合は、安全対策として、フォーク(爪)の部分に絶縁処理が施されているフォークリフトトラックのような機材を使用することをおすすめしています」


3. EV(電気自動車)車両試験

リチウムイオン電池における熱暴走は、バッテリセル内部の発熱量がバッテリ自体の放熱量を上回り、制御不能な状態に陥り、急激な温度上昇を引き起こすため、EV の車両試験工程における安全上の危険要因と捉えられています。バッテリセル内部で急激な温度上昇が示された場合など、危険性が高い状況下でも人的介入を最小限にとどめた状態で、迅速かつ安全に車両をテストセルから移動できるよう、Stringo 社では熱暴走対策を施したモデルやオプション装備などの専用ツールを提供しています。

  • 熱保護プレート: マシン本体の前面や上部に追加で取り付け、バッテリや電気系統などを熱から保護し、熱による故障のリスクを最小限に抑えます
  • ポリカーボネート製シールド: 優れた耐熱性で過酷な温度環境に耐えることができます
  • 遠隔操作: リモートコントローラを使用して操作 (オペレーターは常時 Stringo マシンを視認できる位置にいること) することで、オペレーターの安全性確保につながります
  • エラーが発生した場合でもオペレーターが安全に(遠隔で)車両移動を行えるように、制御を「緊急解除」できます


「安全性向上への取り組みは自動車業界において常に最優先事項です。当社が提供するこうしたソリューションには、現在非常に高い需要があります」

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4. ADAS キャリブレーション

自動車の技術開発が進むにつれ、さまざまな先進運転支援システム (ADAS) の試験やキャリブレーションをおこなうためのツールに対する需要も高まっています。このようなキャリブレーション作業の実行には、車両を歪みなく適切な角度に設置する必要があり、手間や時間を要します。

「Stringo S5 モデルをはじめ、新世代の Stringo ビークルムーバーではオープンプラットフォームを採用しています。堅牢な CAN バスアーキテクチャを基盤とし、制御ユニット間のシームレスな通信を実現し、多くのナビゲーションシステムや車両管理システムとシームレスに統合することが可能なため、テストセルで使用されるシステムを含め、あらゆるシステムとの統合に向けて新たな可能性を見据えています。車両の適切な設置の迅速化は、今後大きな実現の可能性を秘めていると考えています」

Magnus と彼の率いる研究開発部門は未来を見据え、新たな課題に挑み続けています。

 

車両試験施設におけるビークルムーバーの活用事例について詳しくは、『Automotive testing insights with SEMA Garage in Detroit /  SEMA※1 Garage Detroit のエキスパートが語る車両試験の最前線とその動向(英語のみ)』をお読みください。「自動車の街」として知られる米国ミシガン州デトロイトにある SEMA Garage で活躍する 2 人のエキスパートに車両試験の現場や実情など貴重なお話をお伺いしました。自動車の電動化や自動運転など、自動車業界の動向について、車両試験の現場を熟知したエキスパートの見解についてご紹介しています。

※1 米国自動車用品工業会 (Specialty Equipment Market Association の略称)