自動化技術の急速な進化は、自動車業界にも大きな変革をもたらしています。自動車メーカーでは、これまでの長大な固定式の生産ラインから、モジュール構造で柔軟性の高い体制へと移行しつつあります。こうした動きの中で、自律走行型のビークルムーバー(車両運搬機)は重要な要素のひとつと考えられています。製造環境に適したビークルムーバとはどういったものか—— 重量のある自動車を製造する現場において、堅牢なビークルムーバーと軽量なフラットベッド型モデルを比較してみました。ここでは、その特徴について簡単にご説明します。
自動車業界のニーズは絶えず変化しています。こうした要望に対応するため、Stringo 社の研究開発部門は新たなモデル「Stringo Automated」を開発しました。Stringo Automated は、これまでの Stringo ビークルムーバーの強みと堅牢性に、無人搬送車(Automated Guided Vehicle; 略称: AGV)の特徴でもある自律走行や、あらゆる方向への自在な移動を可能にする機能などを融合させたモデルです。Stringo 社が開発したこの Stringo Automated と、近年バレーパーキングや倉庫などで普及しつつあるフラットベッド型の車両搬送機器との主な違いについて考えてみましょう。
Stringo AB 社 で CTO を務める Magnus Grafström は、研究開発の観点から次のように語ります。
「ひとつの要素を重視すると、他の要素が成り立たなくなる—— 機械の設計や製造、いずれも妥協を伴うものです。軽量のフラットベッド型の車両搬送機器は、あらゆる方向からすばやく車両にアクセス可能で、駐車場のように平坦な路面で車両を移動させる際には大いに役立ちます。一方で、こうした機械には出力や堅牢性において限界があります。製造現場において、この点は極めて重要な要素になります」
Stringo Automated が現代の自動車製造工場のニーズに適合している点、フラットベッド型の車両搬送機器と異なる点について、詳しくご説明します。
Stringo Automated を導入する 6 つのメリット
1. 堅牢な設計と優れた性能
Stringo Automated は、大きな負荷のかかる作業環境下でも長時間の使用が可能で、最大 5 トンの車両を移動させる能力を備えています。強力なドライブモータと油圧プレスアームを搭載した Stringo Automated は、電動アクチュエータが搭載された軽量のフラットベッド型の機材と比べ、より重量の車両をすばやく安全に積載できます。また、トラクションやコントロールが欠かせない 5% 以上の勾配がある場合でも、積載した車両を安定した状態で正確に移動させることができます。
2. 大容量バッテリ搭載と長時間の連続使用の実現
Stringo Automated は筐体が大きいため、大容量バッテリを搭載できます。その結果、長時間の連続使用が可能となり、頻繁な充電による作業の中断が少なくなります。
3. 均等化された荷重配分
ボギー台車※1 を活用した Stringo 独自のボギーホイール構造には、前輪を横一列に 4 カ所配置する通常の Stringo と比べ、前輪 2 つのボギー台車の 1 つに取り付けられた 4 つのホイールそれぞれに荷重配分が均等化されるという大きなメリットがあります。これにより、車輪の摩耗が軽減され、ビークルムーバー全体の安定性が向上します。ボギーホイールという技術ソリューションにより、障害物の乗り越えもスムーズになります。
※1: ボギー台車: 車体に対して水平方向に回転可能な装置をもつ台車の総称
4. 切り替え自在の操作モード(自動操作 / 手動操作)
Stringo Automated は自律走行を前提に設計されていますが、必要に応じて操作モードを手動操作に切り替えることが可能です。メンテナンス作業が必要な場合など、標準的な Stringo モデルと同様に安全かつ簡単に操作することができます。
一方、フラットベッド型の機材は、タブレットなどの外部デバイスを使用して手動で制御を行うことが多く、操作速度が緩やかで、操作しづらい場合もあります。
「先日、生産ラインの最終工程にフラットベッド型機材の導入を検討している自動車メーカーを訪問してきました。手動操作で車両移動を行う必要がある場面で、フラットベッド型機材を使用すると 10 分ほどかかったそうです。それに対し、Stringo ビークルムーバーは 2 分程度で完了したと伺いました」と Magnus は語ります。
5. 作業環境の安全性向上
Stringo ビークルムーバーは視認性が高く、慌ただしい工場内でも一目でわかります。安全性を第一に考え、緊急停止ボタンなどは手の届きやすい位置に配置されています。追加で警報音や警告灯などの安全機能を装備することも可能です。走行時に警報音を鳴らすことで、周囲に注意喚起を促すことができます。
6. オープンプラットフォームの採用
Stringo Automated の開発にあたり、研究開発部門はオープンプラットフォームを採用しました。お客様を専有システムのみに制約することなく、お客様の施設で導入されている技術環境に Stringo マシンをシームレスに統合することが可能です。
「当社の使命は、自動車業界を支援することです」 —— こう Magnus は語ります。
「フラットベッド型機材の製造企業はソフトウェアに重点を置く傾向がありますが、Stringo 社では機械工学を主軸に開発に取り組んでいます。Stringo ビークルムーバーをご利用いただくお客様には、その両方の強みと高い柔軟性を提供したいと考えています。そのため、当社はパートナー企業と連携して、AGV、AMR、マテリアルハンドリングシステムともスムーズな統合を実現することができます」
また、Magnus は前述の Stringo Automated の利点を踏まえて次のように説明します。
「堅牢な設計のビークルムーバーを、自律運転に適応させることは、軽量なマシンを開発することで得られる潜在的な利益を上回ると考えています」
「当社は長きにわたり自動車メーカーのお客様と緊密に連携しており、製造現場において、堅牢性は極めて重要な要素であると理解しています。当社の使命—— 安全かつ効率的な車両移動を実現するビークルムーバーの提供を通して、自動車業界を支援することです。これまで約 40 年間、ビークルムーバー一筋で進化を続けてきました。当社の掲げるこの使命を引き続き果たすべく、開発努力を重ねていくつもりです」
Stringo Automated が誇る高い柔軟性とは
Stringo 本社の研究開発部門でプロジェクトマネージャーを務める Stellan Robertsson が、自動車製造現場や試験施設で将来も有効に使い続けられるよう開発されたビークルムーバー「Stringo Automated」についてご説明します。詳しくは、『Stringo Automated ~ 未来を見据え 高い柔軟性を提供』をお読みください。